2020/03 「女性セブン3.19号」に作業療法士 村島久美子の記事が掲載されました。
『伴走介護』というコーナーの中の「認知症の人にとっても光は重要 家でも外光を取り入れる工夫を」というテーマの記事です。
同コーナー内の記事も大変役立つ内容となっています。ぜひお読みいただければと思います。
2月18日(火)は第二回ひだまりワークショップでした。今回は「多職種で関わる摂食嚥下と食事 -正しい知識から問題点を発見しよう」というテーマで、地域の医療介護職向けのセミナーを実施しました。
当院の摂食嚥下障害認定看護師である青木看護師と管理栄養士3名による嚥下食についてのレクチャーでは、実際にキュウリをそのまま・スライス・きざみの3形態で食べていただき、きざみ食の問題について体感していただきました。
ゲストスピーカーとして、世田谷区で訪問歯科診療で活躍されている粟屋剛先生から「要介護高齢者の口腔とその歯科的対応について」をご講演頂きました。
さすがに豊富な症例提示とともに口腔ケアのピットフォールについて分かりやすく解説していただきました。
食機能の低下には様々な要因があり、多面的なアセスメントから導かれる介入を丁寧に行うことで、回復できることも多いです。
今後、世田谷における事業所を超えたNSTチームを構築し、定期的な事例検討会などで地域のレベルアップを図っていけたらと考えております。
次回のひだまりワークショップは、4月16日(木)を予定しております。
★訪問栄養相談については、こちらをぜひ御覧ください!
http://sakura-urban.jp/home_medical_care/visit_nutrition_consultation.html?fbclid=IwAR3tEQPSRJMlsjmJDoE1hy8eyEiVGZ-2_Dz_46vn2to4diulpFt6kSgln7Q#020
20200210 砂川市立病院の内海久美子先生からのお招きで、札幌での北海道庁主催の認知症初期集中支援のフォローアップ研修会に遠矢院長が参加いたしました。
北海道の各地で本事業に携わる様々な職種の方々が150名ほど集われました。
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認知症初期集中支援は、2018年に全国すべての自治体での実施が義務づけられ、各々の地域での取り組みが広がっていますが、当然ながら主体となる組織や持てる人的リソースも異なるため、事業の運用や活用度合いもかなり違っています。
「どういう事例を扱うべきなのか」「初期というより、かなり進行した困難事例が多い」などの意見が多く聞かれました。北海道でも地域包括支援センターによる支援との役割分担などを模索されているようです。
前半は私から認知症初期集中支援の実践とそこから見えてきた課題についてお話させて頂きました。本事業は認知症の経過において「空白の期間」と言われる早期支援、診断後支援の欠落が生じている現状です。その重要な時期に可能な限りご本⼈の意向や価値を理解し、その後の生活や人生を希望あるものになるようにすることがそもそもの大切な目的です。そうした本来の初期集中⽀援が展開されれば、その後生じ得るBPSDへの予防をもたらし、危機対応や問題対応は減るでしょう。
しかし現状では、地域における唯一の認知症専門チームという認識のもと、認知症の進行による生活の破綻やBPSD症状が出現しているような困難事例に対して、初期集中支援チームに支援要請がなされていることが少なくありません。
このことは認知症の人と家族の会から出された「認知症の人も家族も安心して暮らせるための要望書(2019年版)」でも指摘されていることです。
そのように講演でお伝えしたあと、質疑応答で真っ先に出たのは、「そうは言っても、うちの地域には専門職も少なく、認知症専門チームをいくつも作ることは出来ない」という意見でした。確かにそれが現実なのでしょうう。世田谷でもさほど状況は変わりません。しかし、ならばなおさら、ささえる人たちが初期支援の意味やその重要さをしっかり再認識して取り組む必要があると感じました。
後半の事例検討では、2つの地域から非常に複雑な要素を持つ困難事例が示されたが、様々な機関やサービスと連携しながら、丁寧に支援し続け、問題解決を図るプロセスが素晴らしかったです。すでにかなりのケースを経験しておられるようで、こうしたチームが地域にあることの頼もしさを感じました。
こうしてそれぞれの地域での認知症ケアへの実践が高まっていくことでしょう。今後さらに増えていく見込みの認知症に対して、今一度この「初期集中支援」の意味と目的を考える必要があると考えています。
遠矢純一郎
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20200130 秋山正子さまからのお招きで、新宿区介護サービス事業者協議会にて「多職種連携を支えるマインドと仕組み ー世田谷区の取り組みー」というテーマで遠矢院長が講演をしました。
平日午後にもかかわらず、ケアマネさんや介護事業に携わる100名近い方々が集われました。
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秋山さんからの「介護事業者の方々が元気になるようなお話を」という、かつてないお題に苦しみましたが、当院のスタッフは院内外の多職種との協働において、より機能的なチームワークの向上を目指して積極的な取り組みを行っており、その実践をまとめつつ、在宅医療におけるチームビルディングについて考えてみました。
前半は院内の様々なプロジェクトを紹介しつつ、それが生み出された背景や仕掛けを考察しました。
時の流れとともに変化していくチームにおいても、常に理念やミッションを共有し、仕事への情熱と自分たちらしさ、己のモチベーションと互いをリスペクトしながら協働する関係性を維持していくには、組織として錆びないための努力を怠ってはなりません。
後半は世田谷区や地域の連携先と共に取り組んでいる認知症初期集中支援やBPSDケアプログラム、認知症在宅生活サポートセンターなどの事業について、その実際をお伝えしました。
これらに共通するのは、ケアの持つ力がその人らしくあることや尊厳をささえ、強みを引き出し、認知症になっても希望を持てる社会を作っていこうという基本理念です。
なかでもBPSDケアプログラムは、認知症の方の行動心理症状に対して、症状をスコア化(見える化)した上で、関わる介護職の方々の観察や実践を振り返りながら、ご本人が感じているストレスを慮り、それを緩和するためのケアを考え、試行していくというものです。安易に薬に頼らず、可能な限りケアの持つ力で解決を図っていく。東京都が開発し、普及を進めているこのツールを活用することで、介護にアセスメントする視点と面白さを持てるようになるだろうと考えています。
認知症の方たちの笑顔やその人らしさを引き出し、そんなことができるの?!という驚きと感動を自分に見せてくださるのは、いつも一番近くで身体と心に寄り添っておられる介護職の力によるものです。介護という仕事は、もっと尊敬されるべきだし、そこに誇りと自信の持てる社会であるべきと心から思います。
遠矢純一郎
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2019/12/12 東京医療センターさんとの定例合同カンファ、今回のテーマは「災害対策」でした。
病院、診療所、訪問看護ステーションなど、参加者それぞれのセッティングでの災害対策についての現状を共有し合い、互いの役割や協力しあえることについて、グループディスカッションをしました。
世田谷区は、つい先月の台風19号で多摩川流域が浸水し、停電や避難が必要となる経験をしました。川べりにある病院も浸水の被害で150名近い患者さまを転院させることになり、被災地域以外の病院もその対応に追われたそうですが、混乱する現場と、搬送を待ち受ける病院側との間でもコミュニケーションが上手く取れず、非効率さがあったといいます。その後、集まった複数の在宅医療クリニックそれぞれの防災対策や今回の浸水被害に対する対応をプレゼンし合いました。それぞれの取り組みの中に、参考になることがたくさんあり、とても収穫の多いカンファレンスとなりました。
大震災のみならず、浸水や停電など、いつでも起こりうることだけに、普段からの意識付けや情報の整理、備蓄や行動マニュアルを準備しておく必要性を改めて感じる機会となりました。わたしたちも1年前から院内の災害対策プロジェクトを立ち上げ、BCPの策定を進めています。今回の学びも取り入れて、なるべく早く完成させ、公開しようと考えています。
20191114-15 日本看護学会 慢性期看護学術大会にて遠矢院長が登壇をしました。
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日本看護学会-慢性期看護学術大会、ICT活用をテーマに在宅医療や地域看護のフィールドで活動なさっている看護師さん達のお話に刺激を受けました。
福岡から見守りロボット「おるけん」の青木比登美さん、加計呂麻島で保健師兼診療看護師をなさっている中村幸代さんともに登壇をしました。
お二人とも地域で暮らす方々や遠くで心配している家族の不安を減らすために取り組まれており、看護の世界を拡げていくパワフルさが頼もしく、コミュニケーションや地域丸ごとでささえていくためのツールとしてのICTの使い方がユニークでした。
私からは、地域連携システムや在宅緩和ケアパス、認知症BPSDケアプラグラムなど、地域の多職種チームケアを統合する取り組みについてお話させて頂きました。
座長の宇都由美子先生とは、私が鹿児島大学三内科時代からのつながりを頂いていて、大学の医療情報や経営マネジメントの第一線で活躍なさっておられます。
鹿児島での開催であったため、かつて一緒に仕事していた看護師さん達もたくさん来られていて、20年ぶりくらいに再開できたことも嬉しかったです。急性期病院の激務の中で共にたたかった戦友のような仲間たち。みんなそれぞれの場所で頑張っておられるようで、昔と少しも変わらないのが嬉しかったです。
またぜひお会いしたいものです。
2019/11/07 スウェーデン大使館で開催された認知症セミナーにて、講演させていただきました。大使館内にある木造のアーチ型講堂は、コンパクトながら100席を有するという機能性も備えています。平日の日中にも関わらず、満席となった会場にはおなじみのお顔もあり、おかげでちょっと緊張が和らぎました。
今回の私のテーマは「認知症と生きる希望」。私とスウェーデンとのつながりであるカロリンスカ研究所の認知症ケア修士課程で学んだこと、その後在宅医療や地域ケアの中で関わらせて頂いている様々な認知症への取り組み(認知症初期集中支援やBPSDケアプログラム、認知症に優しいデザインや認知症在宅生活サポートセンターなど)について、この数年間の活動を自分なりに振り返りつつ、認知症をとりまく日本と世界の今をまとめてみました。
こうしてみると、この4-5年の間にも日本ではオレンジプランや認知症カフェなど様々な施策や取り組みが始まり、JDWGなど当事者活動を中心とした動きも活発化しています。その勢いは世界からも注目されています。一方でまだまだ施設や病院、一般市民の認識など様々な場でその波が届いていないところも多く、ギャップが大きくなっている印象もあります。
今回認知症に関わる様々な現場を持つ方々がご参加されており、ご意見や課題について聴かせてくださいました。こういう場で意見交換しながら、互いの知見を共有しあい深め合うことで、進化の速度を上げていかねばならなりません。ローカルを突き詰めるとやがてグローバルに通じていくというのが、まさにカロリンスカで学んだことでした。今後もこうした活動を続けていこうと思います。