こんにちは、桜新町アーバンクリニック看護師の尾山です。
私はこれまで病院に勤務していました。
在宅医療に転向するにあたり私は、在宅医療ではスタッフ個人が担う責任が重く、
現場では他の看護師と相談できないということに不安を感じていました。
これは病院勤務の看護師から、在宅に興味があっても踏み出せない理由としてもよく聞かれます。
当院では訪問看護ステーションと診療所が併設しており、まずは往診同行看護師として医療的な面を学び、
その後訪問看護師として自立する方針をとっています。
今回、往診同行看護師として学びを深めた事例をもとに、今後新たに在宅医療に関わる看護師が
安心して在宅医療の世界へ踏み出せる環境考察についてポスター発表を行いました。
<症例>
86歳女性。原発不明癌の末期。転移のため右上肢の拳上ができない。オキシコンチン10mg×2、
屯用のオキノーム散5mgを処方。独居。認知症なし。患者さんはできる限り自宅で過すことを希望。
訪問診療開始後、内服薬が増えて混乱したことや右腕の拳上ができなくなったことで、既成の
カレンダーの使用では服薬コンプライアンスが低下した。訪問看護師と議論し、患者さんに合わせた薬箱を製作。
結果、正確な服薬ができ、在宅療養を支える看護をしている実感を持った。
<考察>
今回の事例を通し在宅医療では患者さんを枠に当てはめるのではなく、治療を患者さんの生活に合わせて
いくことが重要であることを学びました。在宅医療に抱いていた「責任が重い」という不安は、
自分の看護ケアの効果が見えやすいという充実感に変化した一例です。
これらの学びを得たのは、先輩看護師が訪問看護で同一患者さんに関わり、適切な看護技術やケアを
いつでも話し合える環境であったことが大きいです。
クリニックと訪問看護ステーションが併設されていない場合でも、同一の患者さんに関わる看護師同士が
垣根を越えて学び合う強い連携があれば、看護師が在宅医療の世界に踏み出しやすい環境が作れるのではないかと思いました。
在宅に興味があっても踏み出せない看護師さんがいれば、是非当院の門を叩いてみて下さい。共に学び合い、充実感に満ちた看護ケアを患者さんに提供していきましょう。