子どもがインフルエンザにかかった時の注意点

豆知識 2023.08.25

夏だというのに、インフルエンザが流行しています。子ども同士はどうしても感染症をうつしあってしまいますから、あっという間に広がりやすい状況があります。
「どういうことに気をつけて、インフルエンザにかかった子どもを家で看ていけばよいのか」という質問もよくいただきますので、【おうちで子どものインフルエンザを看病する際に注意することについて】をまとめておきたいと思います。

おうちで看病するときの基本は?

基本的な治療は、次の3つです。
① 十分な水分をとる
② 消化のよいものを食べる
③ よく休む

クリニックなどで診察し、抗ウイルス薬(タミフル、リレンザなど)の処方を受けたときは、指示されたように内服/吸入しましょう。お薬を内服/吸入し、今までになかった症状が出現したり具合が悪くなったときは、お薬が合わなかった可能性もありますので、処方を受けたクリニック、調剤薬局に相談してください。
一般的には、発熱は3~4日間程度で治まり、咳や鼻水などはその後数日程度続き、軽快していきます。

肺炎などの重症感染症や脳症への注意

子どもは肺炎や脳症などの重症化のリスクがあり、自宅療養中はよく見守ることが必要です。特に発症して3日程度、発熱している期間はよく状態をみてあげてください。

参考サイト:発熱したお子さんを見守るポイント(厚生労働省・日本小児科学会)

厚生労働省、日本小児科学会

● 見守るポイント

◯ どのくらい飲んだり食べたりできているか

ぐったりして水分がまったく摂れないときは、脱水状態になってしまうことがあります。
少しずつ摂取を促したり、熱が高い場合は医師の指示に従って解熱剤を使用し、熱が下がったタイミングで飲んだり食べたりを促してみましょう。

◯ 呼吸の変化はないか

息苦しさを訴え、呼吸が速く、肋骨や胸の骨の上がへこんでしまうほど努力して呼吸する場合は、肺炎を併発していることもあり注意が必要です。早めに医療機関へご相談ください。

◯ 意識状態に注意

ぼーっとして呼びかけに答えなくなったり、いつもと違う言動・行動をする場合は要注意です。
次のような状態のときは脳症の早期症状である可能性がありますので、この場合も早めに医療機関へご相談ください。

  1. 両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)
  2. 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない
  3. アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的な訴えをする
  4. 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない
  5. おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情
  6. 急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす

参考サイト:厚生労働省 インフルエンザ脳症ガイドライン 【改訂版】

解熱剤の使い方

インフルエンザにかかった子どもの解熱剤には注意が必要です。
原則、カロナールやアンヒバなどの[アセトアミノフェン]を次のような場合に使用します。

  • 熱によって、頭痛やからだの痛みが強い
  • 熱によって、水分・食事摂取がすすまない
  • 熱によって、眠ることができない

熱を下げることで経口摂取がすすむ、つらい症状がやわらぐと判断されるときに使ってください。熱があっても、活気もあり症状も強くなければ、解熱剤使用の必要はありません。
解熱剤を使う間隔は6時間以上あけるようにしてください。
効果が出るまでに、内服薬なら1〜2時間、座薬なら30分〜1時間かかります。すぐに熱が下がらないからといって追加して使わないように気をつけましょう。
解熱剤で下げられるのは1℃程度と考えてください。氷枕や保冷剤をタオルで包んだもので脇の下・足の付け根などを直接的にクーリングすることは、本人が「気持ちいい」と感じるようならおすすめです。逆に、ふるえていたり寒気が強かったりする場合は、毛布などで身体を温めるようにしてください。

赤ちゃんの解熱剤は医師に相談してから

生後6ヶ月未満の乳児は、解熱剤を使用すると体温を下げすぎてしまうことがあるため、原則使用しません。使用するときは医師に相談してからにしましょう。

解熱剤の選び方に注意が必要です

大人が使用するアスピリンや一部の解熱剤(ジクロフェナクナトリウム[ボルタレンやロキソニン]、メフェナム酸[ポンタール]、イブプロフェン、ブルフェンなど)は、小児インフルエンザ感染症と急性脳症の発症との関連が指摘されていますので、子どもに使用してはいけません。この脳症はライ症候群と呼ばれています。

【ライ症候群とは(厚生労働省ホームページより)】

急性脳症(嘔吐、意識障害、痙攣、高熱等の症状)で、肝臓ほか諸臓器の脂肪変性、CT上脳浮腫が見られる等により特徴づけられるものをいいます。水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、主に小児において発症します。

参考サイト:国立感染症研究所感染症情報センター;インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用について

学校の出席停止期間について

文部科学省が所轄する学校保健安全法では、インフルエンザ感染症の出席停止の期間の基準を以下のように定めています。

学童:発症した後(発熱の翌日を1日目として)5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで
幼児:発症した後(発熱の翌日を1日目として)5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで

※抗ウイルス薬によって早期に解熱した場合も感染力は残るため、発症した後5日を経過するまでは出席停止となります

詳しくは通っている学校へお問い合わせください。

みなさんの早い回復をお祈りしております!

(了)

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