アーバン日誌

第4回認知症の緩和ケアに関する研究会

院長ブログ 2023年3月12日

認知症の緩和ケアに関する研究会へ登壇しました。2020年10月に始まった当研究会は、今回で4回目となりました。毎回1000名を超えるご参加があり、皆様の関心の深さを感じると共に、この分野がまだまだ十分ではないことが反映されているものと感じております。

今回は、食支援(コンフォート・フィーディング)、家族ケア、スピリチュアルケアの3つをテーマに、様々な実践者の先生方からたくさんの学びを頂くことができました。認知症を持つ方は、病状の進行とともに、その生活や社会・家族との関わりが変化し、本人の尊厳が危うくなったり、家族の負担なども変化していきます。その様々な痛みや苦しみを理解しながらその人らしい生活の継続を支援する緩和ケアを実現するためには、暮らしの場である地域や施設、急性期病院、専門医療機関など、多くの医療・介護の専門職の協働が不可欠です。

もちろん緩和ケアは終末期に限るものではありません。たとえ早期であっても、診断直後に不安や絶望に苛まれる当事者への早期支援も、絶望から抜け出すための緩和ケアと言えるでしょう。認知症当事者同士のピアサポートなども始まっています。日本でも当事者による発信が盛んになってきて、認知症への見方やケアのあり方に変化が求められています。

日本の認知症の医療とケアの現場に、総合的な緩和ケアなアプローチを定着させ、充実させていくことが喫緊の課題となっています。認知症当事者や家族の「生活の質」を高めること、そして「認知症とともに良き生活・良き人生を全うできる、認知症になっても希望の持てる社会を実現していく」ことをゴールとして、認知症の緩和ケアの認識を広げ、その質を高めていきたいと考えております。

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